資本論を読むことになってしまった

分からないことだらけの、この何ともいえないモヤモヤ感は・・・。

これはすごいわ!

大学のリポジトリを巡っていたら、ものすごい論文に出会ってしまった。『立命館文学』に掲載された一連の論文。古い順に挙げると、

❶商品語の〈場〉は人間語の世界とどのように異なっているか(1) 井上康・崎山政毅2013

❷商品語の〈場〉は人間語の世界とどのように異なっているか(2) 井上康・崎山政毅2013

❸商品語の〈場〉は人間語の世界とどのように異なっているか(3) 井上康・崎山政毅2014

❹商品語の〈場〉は人間語の世界とどのように異なっているか(4) 井上康・崎山政毅2014

⑤新たな段階の架空資本の解明に向けた理論的準備(その 1) 崎山政毅・井上康2014

❻『資本論』冒頭商品論の、出だし部分と価値形態論における諸商品の等置式の直接対比的考察  井上康・崎山政毅2018

⑦『資本論』の蓄積論はどのように論述されるべきか 井上康・崎山政毅2019

⑧なぜ商品の社会性は価値として現れるのか-価値とは何か 井上康・崎山政毅2019

⑨〈利子生み資本-架空資本〉概念の基底 井上康・崎山政毅2020

⑩貨幣とはそもそも何であるか、また貨幣に依拠し生み出される信用貨幣とは何か 井上康・崎山正毅2021

となる。とりわけ、黒番号で記されたものは連作であり。❶~❹に基づいて『マルクスと商品語』という著作が2017年に出版されている。❻を読む限りでは、この著作をさらに精密に補完し、進展させるべく❻論文は書かれたものである。

著作の方は、まだ読んでいないので近所の公立図書館で購入希望の書類を出すつもり。❶~❹から判断して、「公立図書館に『マルクスと商品語』の購入希望を出す全国運動」を展開してもよいのではないか。

❷論文に不満なところがいくつかあるのだが、それを含めても大変な仕事だと思う。「資本論を何としてでも読み解くぞ!」という気概にあふれている。

いい論文読ませてもらいました。ありがたい。

 

あともうひと方。こちらもすごい。

❶価値形態論における「商品語」について 佐々木隆治2009 一橋社会科学 第7号

❷抽象的人間的労働と価値の質的規定性について(上) 佐々木隆治2014 立教経済学研究 第67巻4号

❸抽象的人間的労働と価値の質的規定性について(下) 佐々木隆治2014 立教経済学研究 第68巻1号

④いわゆる「転形問題」についての覚え書き 佐々木隆治2016 立教経済学研究 第70巻1号

著作もいくつか出版されているらしい。自分の興味からではあるが、❶~❸はよみごたえあり。やはり資本論をしっかり読もうとする姿勢が好ましい。ちなみに❶論文は先の井上・崎山両氏の論文で批判されていますが、それとは関わりなく必読論文だと思う。

 

こういう思いもかけない論文に出会えるので、大学リポジトリ巡りは楽しい。