寝る前に横になって資本論を読む。・・・眠くなる。睡眠導入剤代わりだ。寒かろうが、暑かろうが必ず眠くなる。
そんなことを毎日やっているうちに、入院中に読んだときに発見した誤植を再発見する。(年のせいで、どこにあったか忘れてしまっていたのだ。)
岩波文庫版『資本論』(向坂逸郎訳)の第2分冊P77の後ろから4行目あたり。
「同様に、不変資本の残余が含まれている別の2ポンド3分の2の撚糸は、20ポンドの撚糸という総生産物に費消された補助材料および労働手段の価値以外には、何も表示しない。」とある。
4版で確認するとvernutztenの訳だ。辞書にない語だが、benutzten(使う)などの語感から「使い果たす」くらいの意味だろう。「消費する」が正しいはず。
奥付をみると、この第2分冊は「1969年2月17日初版第1刷発行、2020年12月15日第52刷発行」とある。第1刷発行以来、51回の「修正の危機」を乗り越えて、今に至っているのだ。
「人類月に立つ」に小学生だった私が興奮していたころ、「費消」はすでに『資本論』の中に身を潜め、それから50年以上、ただただ人目につかぬようにじっとしていたのだ。
「費消」、よく頑張った!